ホーム >ベーシスト >Larry Graham
このエントリーをはてなブックマークに追加

Larry Graham(ラリーグラハム)

スラップの生みの親と知られている、Larry Graham。


実際に初めてスラップ奏法を使用したかどうかは諸説ありますが、少なくとも一般的に広めたのはラリーと言える。ラリーがスラップ奏法を思いついたのは、ドラマーが参加できないギグにおいて、ドラムの役割を担うためにパーカッシブなプレイをしようとしたのが始まり。

ラリーグラハムの名が世に知られるようになったのは、スライ・ストーン率いるファンクロックバンド、スライ&ザ・ファミリー・ストーンでの活動。スライ&ザ・ファミリー・ストーンではスラップ奏法はあまり使用しなかったが、図太くどっしりとしたベースサウンド・プレイが注目を集める。しかし、薬物の影響もあり、ラリーにバンドを乗っ取られるという妄想にスライが陥るようになり、最終的にはバンドは分解状態に。

スライ&ザ・ファミリーストーンズの活動を経て、ラリーは自己がリーダーである「グラハム・セントラル・ステーション」を結成。ファンクが根底にありながら多様な音楽を混在させた音楽性であり、他のファンクバンドとは一線を画する。また、グラハム・セントラル・ステーションでは、従来の図太いボトムのあるプレイに、得意のスラッププレイ、コードプレイも披露している。


ただし、ラリーはやはりどこまでいっても「ファンキーおじさん」。ベースの音はでかいし目立ちまくるとはいえ、彼にとって重要なのは「踊れるかどうか」。グラハム・セントラル・ステーションでもその点を重視しており、ベーシスト中心のバンドとはいっても、所謂ベーシストのソロアルバムとはまた違うので注意。間違ってもマーカスミラーやヴィクターウッテンのような、「ベース中心」の作品を期待してはいけません。「ファンキーおじさん」が送る「ファンキーバンド」である。




さて、ラリーのプレイ。とにかくベースの音は極太ででかい。
ちなみにこの動画のドラマーはなんと菅沼孝三さんです。日本が誇る手数王!!

ラリーのスラップはまさに“漢”といった感じ。ボトム感満載で腹に響いてくる。マーカスがもっと細かくて繊細なスラップであるのに、対しておおざっぱで一音一音を図太く響かせてくる。

また、ラリーはサムピングアップを多用するのも特徴ですね。そして、スラッピングする位置が普通の人と違うのも特徴。

ちなみに、私はビルボードでマーカスミラーとラリーグラハムとの共演ライブを観に行ったことがあります。中尾彬さんもプライベートで観にいらしてました。非常に楽しそ〜うにしてましたよ。

いくらラリーグラハムといえど、現代ベース界トップのマーカスミラーと共演なんて、、、、
変にラリーに気を使わなければいけない空気になってしまうのではないか、と少し心配していました。


だが、そんな心配も無用。とりあえず、ベースの音がでかすぎてマーカスの音があまり聴こえなくなっていましたが、それを差し引いてもこのファンキーおじさんの存在感とグルーヴは圧倒的でした。音の図太さがとんでもなく、とにかく会場全てを巻き込んでました。





こちら、客席に入ってからのシンプルなフレーズだけで踊りたくなる。いや〜かっこいい。

また、エフェクターはファズをよく使います。こんな年をとってもファンキーで若々しいプレイをしてくるラリー。素晴らしい!!




グラハム・セントラル・ステーションのアルバム。一曲目の「Pow」はスラップの教科書があったら必ず載る。4弦開放弦を使った、これぞスラップ!!といったもの。

M2.「My Radio Sure Sounds Good To Me」もゴスペルちっくなコーラスワークにラリーの図太いベースが支える。オーソドックスなオクターブスラップも含まれている。

M3.「Is It Love?」少しドラマチックで大げさな三曲目。ファンク色はあまり強くない、ミドルバラード。相変わらずのラリー節に挟まれるプル。

M4.ラリーのコードプレイから始まる。ベースラインもコードプレイを挟んでおり、興味深い。

M6.この曲もコードプレイから始まっており、その後に続くスラッププレイも必聴。一曲目のPowがスピード感溢れる曲だったのに対して、M2からずっとミドルテンポの曲が続いている。やはりここらへんのボトムにのっぺり引っ付いたまま曲が進む泥臭さは、スライの影響か。

M8.タイトル通りの陽気な曲。コーラス・キーボードがフィーチャーされていて明るい雰囲気が全体を覆う。


このアルバムを聴けばわかるが、ラリーのファンクは細かい音符をシンコペートさせたスピード感あるファンクというよりは、4分のノリが根底にあるドスンと地に足付いたファンクである。ラリーは4分の重みが強烈であり、細かい音符を弾かなくとも、腹に響いてくる。たとえ細かい音符を混ぜても、4分の大きいノリが存在しているのである。




inserted by FC2 system