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Anthony Jackson(アンソニージャクソン)

アンソニージャクソンの画像


セッションベーシストとして数多くのベーシストからリスペクトされているミュージシャンズミュージシャン、Anthony Jackson(アンソニージャクソン)。

様々なアーティストから支持を受けており、スタジオミュージシャンとして間違いなく歴史上トップレベルの実力を持つ。
対応ジャンルも非常に幅広く、ポップスからロック、さらにはフュージョンやジャズまでこなす、全ジャンル対応ベーシスト。しかも、その全ジャンルをトップレベルのクオリティで演奏する。

ポップスではチャカカーン、スティーリーダン、ロバータフラック、クインシージョーンズ、ドナルドフェイゲン、サイモン&ガーファンクルなど。
純粋なロックとは言えないが、サイモンフィリップスやアルディメオラのロック色が強かった時期。
フュージョンではリーリトナー、マイクスターン、スティーヴカーン。
ジャズではミシェルペトルチアーニ、バディリッチ。そして矢野顕子、渡辺貞夫、上原ひろみなどの日本人アーティスト。さらには、ミシェルカミロなどではラテンもこなす。


このように、超一流アーティストから絶大なる支持を受けており、サポートミュージシャンとして数々の名演を支えてきた。ベーシストを呼ぶならまずはアンソニージャクソンを想定する。このように考えているアーティストはかなり多いはずである。それほどに圧倒的に突出した技能を持っている。


しかし、彼はなぜこれほどまでに信頼されているのだろうか。第一に挙げられるのはやはり抜群の「安定感」。どっしりとした音圧から繰り出される重厚なグルーヴ。彼がいるだけで、そのバンドに核が生まれる。他のプレイヤーが安心してのびのびとプレイできる、というのがやはり大きいだろう。

特に音色に関してのこだわりはとんでもない。彼の音色の特徴としては、低音にいってもブライトで輪郭のはっきりした音が出ることである。しかし、それでいて「ずっしり」としているのである。トレブルを強調しました、というような音色ではない。
アンソニーは「ピアノの低音部」のような音を理想と語っており、そのような音を追求するのに余念がない。楽器の開発やシールドの開発、、、常により良い音を出すための努力をしている。楽器に関しては「コントラバスギター」と本人は呼んでいるが、6弦ベースを用いている。
初期の頃は4弦も使っていたが、フォデラの6弦ベース(コントラバスギター)に移行してからは一貫して6弦を使用している。

また弦に対してもこだわりが強く、レコーディングでは一曲毎に弦を張り替えるというほどである。ブライトで芯のある音を追求しているアンソニーにとって、弦は使用してから2時間で寿命らしい。。。音色に対してとんでもないこだわりとストイックさを持っているのである。


奏法としては2フィンガーピッキングがメインである。以前はピック弾きも多用していたが、後年は2フィンガーの比重が大きい。
フィンガーピッキングに関しては、親指弾きや、ミュートピッキングなどで多彩な音色を操る。とにかく音粒の揃い方が尋常ではなく、出音も大変はっきりとしている。
ミュートピッキングによってデッドな音色を出すのも得意であり、上手く場面毎に使い分けをしている。

そしてピック弾きに関しても超一流。ジェファーソンエアプレインのジャックキャサディの影響が強いと本人は公言している。ピック弾きにより、シャープ/タイト、なおかつボトムのある音を出す。さらにフェイザーをかけたピック弾きは絶品。アンソニーの強みの一つであるといえる。

ただし、スラップはほとんどいっていいくらいしない。チャカカーンのアルバムでスラップらしいフレーズが一部分聞けるがスラップで弾いているという確証がない。本人も「スラップを拒否したことにより、仕事の機会を失ったこともあると思う。」といっているが、それでも頑としてスラップはしない。
しかし、だからこそ現在の孤高なスタイルが築かれたのである。スラップ全盛期にも立ち会っていたにも関わらず、決して時代の流れに迎合せず、自分を押し通す。素晴らしいプレイヤーである。


グルーヴに関しては、所謂黒人グルーヴとは全く違うスタイル。踊りたくなるというよりは、下でうねうねしていて、味わいたくなる、という印象。かなり独特なグルーヴを持っており、オンリーワンなスタイルである。




アンソニーのピックプレイが光る、アルディメオラの名演。音がとにかくタイトでブライト、でもボトムもどっしり!!こんな音を出せるのはアンソニーだけである。。。

アルディメオラの音楽に鋭角性を与えており、抜群に相性が良い。アンソニーのベースは安定しながらも、しっかりと音楽に色どりを与えるところが素晴らしい。
3:10頃のアンソニーのピックアップフレーズも最高!!ミュートしながらのピック弾きでなんともいえないグルーヴ感!!

7:10にはソロがありますが、フェイザーサウンドがかっこいいです!!アンソニーのベースソロについてはまた後で語ります。





アンソニーは上記したように、その圧倒的な「安定感」により支持されている。ではそれだけかというと、そうではない。
アンソニーは「安定感」がある中で、かなりきわどいスリリングなプレイもする。「安定感」と正反対の「緊張感」がアンソニーの特徴である。
全く正反対の側面を持っているアンソニー。そして私的にはこの「緊張感」、スリリングさがアンソニーの素晴らしいところだと思う。


アンソニーはフレージングかなり独特である。そしてこの独特なフレージングがまさにアンソニーのスリリングな部分なのである。
音階をランダムに並べ替えて弾きたくったり、、、、一聴して音楽と合わないのでは、といったようなフレーズも入れてくる。
しかも、それをポップスでも行うのである!!ポップスなのに、こんなフレーズ入れてしまうの!?とドキドキしてしまうようなプレイをするのである。
またリズムを奇数で割って、不安定感を与えたり、、、、、

アンソニーは「安定感」というイメージが強いが、私は逆だと思う。アンソニーが凄いのはあの「緊張感」である。
ただ、アンソニーが他のプレイヤーと違うのは、緊張感を「演出」できる点である。フレーズやリズムで不安定感を与えても、それが最終的にはしっかりと「安定」に戻ってくる。

緊張⇨安定⇨緊張⇨安定
アンソニーのプレイはこの繰り返しである。




こちらミシェルカミロの「Caribe」の演奏。カミロと共演するときのアンソニーは超スリリング!!
それこそ緊張感のあるフレーズを連発してくる!!

0:45の下降フレーズとか、スリリングすぎる!!意味がわかりません!!

カミロのソロの後2:52は、有名な16分⇨3連の極悪なキメ。
そしてパーカッションソロ。4:16のアンソニーのフレーズも意味わからなすぎて泣く。一歩間違えるととんでもなくださいフレーズを弾くのがアンソニー。
でも、なぜか超スリリングでかっこいい。凡人は真似しちゃだめです。私は怖くて絶対真似できません。



最後にアンソニーのソロがたっぷり堪能できる動画。
しょっぱな、いきなりペトルチアーニの左手がかっこ良すぎる件。A Trainってこんなかっこよかったっけ??

ペトルチアーニは相変わらずソロが、、、、素晴らしい、、、、バラードソロも美しいですが、こういうアップテンポでもかっこいいです。
3:10からアンソニーソロ。正直、フレーズが意味わかりません!!
もう、かっこいいのかどうかもわからないが、あのブライトな音色から繰り出される、うねうねしたフレージングが独特なグルーヴを生む。。。。
このソロを聞いてもらえばわかるように、アンソニーは決してメロディアスなタイプではありません。かなりフレージングは独特で前衛的。しかも、バッキングでもこういうフレーズを普通に入れるのがアンソニー。
ソロが終わっても、意味がわからなすぎて、案の定観客はワンテンポ遅れて拍手を送っています。

ガッド様は相変わらずメロディアスなドラミングです。さすがです。


アンソニー、、、間違いなく歴史上で最高峰のプレイヤーで個人的にはジャコに匹敵する程偉大なプレイヤー。私が最も尊敬するプレイヤーでもあります。
アルバム紹介は多すぎるので別個に特集ページを組みます!!


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